ベートーヴェンの交響曲9番《合唱》
“第九”と聞くだけでおおよそまかり通るこの曲は、クラシック音楽を代表する作品であるとともに、歌声とともに人々を鼓舞する賛歌でもある。世界の多くの国々で祝典や士気を高める折に演奏される現存する曲の代表格であり、とりわけ日本では年末、その年を大団円に締めくくるべくオーケストラと合唱、そして聴衆とがひとつになる歓喜のアンサンブルとなる。
年末にイタリアの伝統的な歌劇場で県民第九ということであるから、オーケストラは別として合唱メンバーとしての自由な参加や、それをナポリで聴こうと挙手するものたちは例年より多く、それもあって200名を超える渡航参加者を集めている。
イタリアでは年末に第九で締める習わしはなく、12月31日のサンカルロ劇場でのコンサートを姉妹都市盟約あってのナポリ市の計らいもあり例のないイベントとして行われている。
これまで年を跨ぐジルベスターコンサートというもののなかった南イタリアなので、その後の年越しのパーティやカウントダウンを考えても集客は簡単ではなかろうと想像しながらも、なんとその夜の歌劇場はほぼ満場となり、演奏するものの士気もかなり上がり、リハーサル以上によい演奏になったことを今も鮮明に憶えている
。
幸先のよいナポリとの出会いを得られたお陰で、食の豊富さや風光明媚であることとともに、何より自分の故郷とつながりのある町であることがうれしくて、それからもしばしはこの南の町を訪れている。
姉妹都市関連の行事に留まらず、個人的な嗜好もここに向く。日本からの知人、友人を伴いやってくることがあれば、またイタリア人のアーティストとのミーティングのためと託けては隠れながらに舌鼓を打つ旅も行ってきた。だからというわけではないが、ミラノ暮らしのわりにはかなりのナポリ通であると自負している。
しかし今回の娘との旅はその全権(オペラを除き)を彼女に託してみた。新たなナポリへのアプローチとして、何よりも今の若者が求めるものを知るための新規開拓であり、前述のエアチケットも宿泊先も若者の観点から学んでみたくなった。
オペラだけは自分の生業が、その情報を日本に伝えるということもあり、このサンカルロ劇場で初演されたドニゼッティの「ランメルモールのルチア」を同劇場にて観ることを娘に提案しながら、その前後のすべては彼女に委ねてみた。美術好きの彼女がいったいどのようなものをこのナポリで、限りある時間内で廻り観たいのか知ることがもうひとつの楽しみとなった。
堂満尚樹(音楽ライター)
Instagram
ぜひご覧ください!
外務省発出の「感染症危険情報」が2年ぶりに
大幅に緩和されました
外務省発出の「感染症危険情報」が、2年ぶりに大幅に緩和されました。
世界106カ国が、危険レベル3「渡航はやめてください(渡航中止勧告)」から 危険レベル2「不要不急の渡航はやめてください」へ引き下げられました。
【レベル3から2に引き下げられた国(北米・欧州)】
アメリカ・カナダ・イタリア・英国・オーストリア・オランダ・スイス・スウェーデン・スペイン・チェコ・デンマーク・ドイツ・ノルウェー・ハンガリー・フランス・フィンランド・ポーランド・ベルギーなど 欧州44カ国
海外ツアー再開に一歩近づく久しぶりに嬉しいニュースです。
音楽・美術ツアーデスクでは、これらの国々の危険レベル2がさらにレベル1以下に引き下がること、そして、日本および訪問地(経由地含む)の入国制限のさらなる緩和(※)、航空便やホテル、劇場、観光施設などの安定した運行や稼働などが見込めることなどを総合的に判断した上で、海外音楽ツアー再開に向けて企画を進めてまいります。
※2022年4月現在、日本居住の日本国籍者の場合、一部の国を除き3回ワクチン接種済みである証明書があれば日本帰国後の自宅待機は免除されますが(陽性者、濃厚接触者は対象外)、帰国前72時間以内の陰性証明(PCR検査)が必要です。また1日あたりの入国制限(検査人数制限)なども設けられており、まだまだ自由な往来ができるまでには時間を要するとみられています。
※外務省発出の「感染症危険情報」は、海外渡航自体を禁止するものではありません。
※日々、現地入国条件および日本帰国時の条件は変わります。最新の情報は関係省庁のサイトを必ずご確認ください。
最新の情報はスタッフブログ&各種SNSでも随時ご紹介!
フォロー、お友達追加をどうぞよろしくお願いいたします!
※LINEはスマートフォンからアクセスしてください
(パソコンからはご覧いただけません)